Ms.teryさん

気の向くままに

「君が電話をかけていた場所」「僕が電話をかけていた場所

三秋さんの本を読み返している。

今回は『君が電話をかけていた場所』『僕が電話をかけていた場所』を読んだ。多分一冊の物語が大人の事情によって2つにされたのだと思う。僕は一冊にまとめてもいいのにって思った。

まあそんなことは置いておいて、読んだんだ。

 

ある夜、深町陽介は不気味なベルの音を聞いた。確かにそれは目の前の公衆電話から鳴っているらしい。恐る恐る手を伸ばす。

「私と賭けをしませんか」

受話器越しに謎の女の声が鼓膜を震わす。

「あなたには忘れられない恋があるはずです」

その日、僕の最も暑い夏が加速する。

雑だけど、こんなあらすじ。深町には忘れられない恋があった。けれども、叶わないはずだった。なのに、その理由を謎の女が消し去ってしまった。ある条件付きで。

ー期限は8月31日、賭けに負ければ泡となるー

 

この物語には人魚に関する話がよく出てくる。人魚をテーマに書いたのだろう。初めて知ったのだが、人魚の肉を食えば不老不死になれるって言い伝えがあるんだね。そしてそれを誤って食べてしまった女の子が恐れられ、知人の死に耐えきれず村から出ていく。そんな物語があったなんて知らなかったよ。僕は不老不死に興味がある。その娘はどのくらい辛かったのだろうか。今度調べてみよう。

 

この本の中で初鹿野唯という女の子が出てくる。深町の想い人。そして、彼女は辛い時に涙ぼくろを水性ペンで書く習慣がある。SOSとして深町と初鹿野だけの秘密の暗号。僕は昔涙ぼくろを書いていたことがあるんだけど、これが原因だってことを思い出した。

いつ読んだのかも覚えていないし、いつ頃までやってたかも覚えてないけど、この本は最近の本なのでそこまで昔の話でもない。本の影響で涙ぼくろを描くって馬鹿らしいとは思うが、確かに僕の支えになっていたことだけは覚えている。辛い時、それがあると何故か笑えた。誰かに向けたわけではないけど、誰にでも向けていたSOS。結局、誰かに気づかれることはなかった。

そんなこんなを思い出した。やはり、本を読み返すのはすごく面白い。昔の感情を思い出す。割と心地がいいもんだ。